Singularity

  • 年末にSteamで半額だったSingularityを遊びました。特異点という意味で、物理学や数学で広く使われる単語です。開発のRaven Softwareといえば、ゴアてんこ盛りの名作Soldier of Fortuneシリーズだったり、古くはid softwareと組んでHexenやらQuake4を作ったり、手堅く良質なFPSを作る会社、だったのですが。

  • 今回は馴染み深いid Techではなく、UnrealEngine3を使用しています。グラフィックはUE3臭いシェーダーやテクスチャが鼻につきませんでした、が、近寄ると粗が目立ってしまうのもまたUE3らしさと言いますか。雰囲気を出すための小物や世界構築は本当に素晴らしく、この辺はさすがRaven。ただ、ゴアが控えめであったのは残念です。前作Wolfensteinでは喉を撃たれてゴボゴボ言いながら血で溺れて死ぬというとんでもないモーションまで用意したRavenらしくありませんね! まったく!

  • Singularityの大きな特徴は物体の時間を進めたり戻したりするTMPというデバイスの存在です。このTMPを使って、例えば敵兵の時間を進めて骨と皮だけにしてやったり、潰れたアイテムボックスを直して中の物を頂いたり、壊れた橋の時間を戻してルートを切り開いたりできます。同じ時間操作系FPSとして思い浮かぶのはTimeshiftですが、あのゲームが周囲の時間を丸ごと操作できたのに対し、Singularityではあくまでもその対象に絞った時間操作しか出来ません。ですからこのゲームの時間操作にはどうにもこうにも物足りなさが付きまといます。特に戦闘で上手く活用できていません。せいぜい相手が隠れたカバーの時間を進めて、カバー自体を役立たずにするくらいでしょうか。スナイパーライフルの弾丸を操作できるのはClive Barker's Jerichoのブラックの能力まんまだし、近距離にいる相手を吹き飛ばすパルスもWolfensteinに同じのあったし、挙句の果てにグラビティガンだしと、まあどこかで見たような要素がこれでもかと出てきます。

  • ところどころに挟まるボス戦は特殊な手順が必要なタイプです。俺はこういうボス戦も別に嫌いじゃないし、巨大ボスとの列車での戦いはなかなか迫力があって良かったです。プレイ時間はトータルで5時間ほど。

  • 武器は折角デザインをちょろっと変えたのに、いつも通りアサルトライフルとショットガンとスナイパーライフルと……という感じでちっとも楽しくありません。唯一、自分で好きなように転がせるグレネードは目新しい感じなんですが、いかんせん使い勝手が悪すぎるのでコイツもイマイチ。
  • ストーリーはネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、これまた既視感の強いお話です。過去と未来を行ったり来たりしながら謎を解いていくのですが、オチがあのゲームそっくりなんですよ。ほら、ウクライナの会社が作った、微妙だけど空気とかカットインアニメが秀逸なFPS。アレアレ。

  • マルチプレイは当然のように過疎&ホスト方式の二重苦なので遊んでいません。この方式やめようぜまじで。
  • まあなんといいますか、お前ら本当はもっと出来るでしょ? どうしてこんなんで諦めちゃうの? 熱くなれよ! とゆっさゆっさしたくなるような不甲斐ない出来でしたとさ。